通販部部長・店舗サブマネージャーの平井大悟です。
たくさんの人々に南蛮屋のコーヒーを通じて「小さな贅沢」を感じてもらいたい。そのための仕組みづくりやサポートをすることが仕事です。
コーヒーは世界的な飲み物で、いわば世界の共通言語。一杯のコーヒーでみんなが笑ってまったりできる世の中を見るのが夢です。
2016年11月02日
コーヒー鑑定士の資格取得のためにブラジルへ!
2016年8月20日〜9月3日の15日間、
コーヒー鑑定士の資格取得のためにブラジルへ行ってきました!
コーヒー鑑定士とは…
生豆の粒の大きさ、均質性、欠点豆の混入率といった見た目の品質判定や、カップテスト(味見)による風味の判定、取引での商品の価値決定などに大きな役割と権限をもつ、いわばコーヒーの品質を見極める番人です。ブラジルではクラシフィカドールと呼ばれています。
クラシフィカドールになるにはブラジル国内の鑑定士コースの課程を修了し試験に合格する必要があり、今回はその試練に挑戦してきました。人生一度だし良い経験になるだろう!
●8月20日, 21日 地球の反対は遠かった
出発は成田空港から始まりまずはアメリカのダラスへ。ダラスで5時間ほど待たされてからブラジルはサンパウロへ到着。その後は国内線を乗り継ぎ、ブラジルの田舎町で鑑定士学校のあるパトロシーニョへ到着!この間、約24時間。映画を何本みたことか…
●8月22日〜8月27日 鑑定士学校で勉強
今回の挑戦の舞台であるコーヒー鑑定士を育成する学校「Savassi」(サバッシイ)。
田舎町の素朴な町並みにひっそりと佇む、学校というよりは塾に近い雰囲気です。
一日みっちり8時間かけてコーヒーの品質管理と鑑定の仕方を学びます。座学と実技を時間を分けて行います。
テキストの日本語対応はツアーだからこそ
発酵した欠点豆
虫食い豆も程度によって名称が別れます
豆以外に混入した異物も欠点扱いに
ひたすら欠点豆の区別を学んでいきます
お昼ごはんは商店街の食堂でいただきます
ブラジルは量り売りのバイキングが多いです
学校の近くにクモン発見!
これらの豆を選別できるようになるまで
ひたすら勉強は続く…
教室はこんじまりとしていてまさに塾!
講師のグラウシオさん
休憩室も家庭的
実習用の小型焙煎機はピカピカです
カッピングの実技。
老若男女、国籍問わず皆生徒
焙煎の目的と実技
授業最終日の夜、明後日はテストですが和気あいあいとした夜ご飯で緊張をほぐします。
●8月26日 勉強の息抜き
今日は授業がないので息抜き、といってもみっちりスケジュールな見学巡りです!
まず訪れたのはセーラ・ネグラ農園とナカオ農園。農園主はナカオさん。
農園は広い、とにかく広い、広すぎる。GPSがないと間違いなく迷子になる自信があります。
永遠と続くコーヒーの木の列。
広大なコーヒーの実の乾燥場
ドローンを使わないと全体像がわかりません
収穫機械も巨大です
この部位でコーヒーの木を揺すって
実を落とします
コーヒーを乾燥させるドライヤーも
ありえないくらい巨大
コーヒー豆の電子選別機。
超高速で欠点豆を選別します。
コントロールパネルが
豆型のインジケーターでかわいい
ナカオさんと一緒に撮影
次に訪れたのはシンコ・エストレーラ農園。農園主はリカルドさん。
シンコ・エストレーラ農園も広大な広さを有するのですが、だんだんと広さの感覚がブラジル人化して慣れてきた模様。
同農園は最先端の灌漑設備を有していて、特別に見せてもらうことになりました。
そして次に訪れたのはファゼンダ・サンパウロ農園。農園主はモンタナーリさん。
ファゼンダ・サンパウロ農園は農地の10%を実験的な栽培エリアとしていて、新しいテクノロジーや手法を積極的に導入している先駆的な農園です。レインフォレスト・アライアンスなどのサステナビリティ認証も取得しています。
誇らしげに育つコーヒーの木
おれの農園だぜ!的に写ってしまった一枚
次に向かったのは来た道を戻ること約一時間ほどにある「EXPOCACCER」(エスポカセールと読みます)。ここセラード地区にコーヒー生産者組合で、セラード各地から集ったコーヒー生豆の精製、選別、保管などが行われる巨大なコーヒーの集積センターです。しかも本日、我々のツアーを歓迎して日の丸国旗でお出迎えが!
受付はまるでホテルです。
少し奥に進むと生豆の鑑定を行っていました。
彼も鑑定士資格を持っているのだろう。
生豆相場がリアルタイムで表示される
商談スペースとおぼしき区画
膨大な数の生豆サンプル箱が並びます。
扱うコーヒーはいわゆる「顔の見える」コーヒーとなっており、どの農園の誰が作ったかがわかるようになっています。
一行、屋外へ移動。巨大な倉庫が見えてきます。
白い袋の中にはコーヒー豆が入っています。日本とスケールが違います。
可能な限りの工程が機械化されており、当然袋詰も半自動です。
詰め終わった袋を別の場所に移動するようです。フォークリフトは超絶テクニックでした。
さらに工場の奥へ
機械で超高速の生豆選別が行われています
さすがコーヒーの国ブラジル。どんな大きなスケールにも対応できるシステムです。
見学させてくれてありがとう!
次に向かったのは、EXPOCACCERのすぐ近くに佇むセラードコーヒーさんのブラジル事務所。今回のツアーを企画してくれた会社です。
買い付けカッピングも行い本日の日程は無事終了。
●8月27日 テスト
8月27日、テストです!筆記はコーヒーの基本知識や欠点数による格付けはもちろん、コーヒーの国際価格と国内価格の相互変換などの計算式も出てきます。実技は豆の欠点選別とカッピング!グラウシオさんいわく「直感を信じろ」とのこと。わかりましたー!
さすがにテスト中の写真と内容は撮れませんでしたが悪戦苦闘の末なんとか完遂。努力が実るのを祈ります。グラウシオさん、Savassiの皆様ありがとうございました!
●8月28日 さらばパトロシーニョ
勉強漬けの昨日までとは打って変わって、今日からはブラジルの農園巡りのスタート!一行ホテルをチェックアウトしパトロシーニョからカパラオ地域へ移動。国内線で移動後、過酷な峠道を派手に走行。スピードメーター100キロ超えてたような…
スリルドライブを終え、夜12時頃にカパラオ地域は高山地帯のホテルに到着し、皆疲れていたのですぐに寝床。
●8月29日 農園巡りスタート
今日から農園巡りがスタート!まずはホテルで朝食です。用意されたコーヒーはドリップとフレンチプレス。ブラジルではハンドドリップコーヒーのことをそのまま「ハリオ」と呼ぶそうです。このホテルはホテルというよりは民家という素朴な雰囲気で、カラフルな色使いや手作り感のある部屋、そして何よりも庭と景色が素晴らしく、絵に描いたような所でした。ちなみにオーナーがベジタリアンでご飯で肉は出ません!
プレスを含めたコーヒー数種
某アニメに出てきそうな佇まいです
遠くに見えるのはコーヒー農園の集合体です
いいかんじのお犬さんが
雰囲気を盛り上げます
出発前にラウンジでミーティング。
こんなしゃれたミーティングは初めてです。
腹ごしらいをして鋭気を養い、犬を可愛がったところで皆で出発。今日回るのは、カパラオ地域に集合している小農家で収穫されるマイクロロットの見学です。マイクロロットとは簡単にいえば、少量生産で風味の個性を重視したコーヒー。通常コーヒーは農園で収穫された後、収穫された時期、場所をおおまかに区切られて大雑把な単位でまとめて精製処理されます。この方式は管理コストが安くなり大規模化しやすいメリットがありますが、その反面コーヒー本来の味わいの差がわかりにくくなるデメリットがあります。それを解決する方法がマイクロロットによる管理で、若干高価にはなりますが「コーヒーの個性を楽しむ」ためにはなくてはならないものです。
このような山岳地帯にコーヒーを植えています。
小農家といってもブラジルスケールなのでやはり広いです
一面に広がる乾燥中のコーヒーの実
栽培されているコーヒーの木。赤々として新鮮
農家の方は家族そろって生き生きとしていました。
息子さんも終始笑顔
子どもたちは三つ子豆など、珍しい形状の豆を集めて遊ぶようです。
昔ながらの脱穀方法を見せてもらいました。
見学が一通り終わり、農家の方にコーヒーをご馳走していただくことに。
セラードコーヒー社長のアキオさんがネルドリップ。
山岳地帯を少し降りると洒落たカフェもあり楽しい場所です。
夜は宿で買い付けカッピングの実施。
このエリア一帯にある農家が持ち寄った銘柄を机に並べていきます。
●8月30日 巨大農園地帯へ移動
農園巡り2日目は場所を移動しマッタス・デ・ミナスへ。今後の期待大の発展途上の栽培地域です。
目的の巨大農園地帯はヴィセンチ・ファリア氏が運営し、4つの農園を所有!そうこうする内にヴィセンチ氏の邸宅に到着し、フルーツとコーヒー、お菓子のおもてなしをこれでもかと言うほど盛っていただき、ブラジルの日本顔負けのおもてなし力を実感。美味しかった!
嬉しいおもてなしに癒やされた後は農園の歴史や今後の展開などについて簡単なプレゼン。ヴィゼンチ氏の家系は歴史あるコーヒー栽培者一族で、なんと創業130年!
プレゼンを終え、農園内の各施設へ。
ドラム型の果肉除去機
果肉除去されたコーヒー豆
広い乾燥場
ブラジルでは機械を使った収穫が普及しています
所々に落ちているコーヒーが入ったうんち。ジャクーという鳥のものです。
見学とコーヒーの実の収穫体験を終えくたくたの一行は再びヴィセンチ氏の邸宅にて休憩し、その後は農園で採れたコーヒーの買い付けカッピングを実施。ヴィセンチさんいろいろありがとう!
●9月1日 大都市サンパウロへ
ブラジルの広大な緑地から離れ大都市サンパウロに一行は移動。ブラジルツアー最後の日となります。振り返ってみると、ブラジルの文化は日本の文化にある「緊張感」みたいなものがなく、宴会の席では当然上座と下座の区別もなく皆が平等、上下関係なく扱われます。時間を守ることもあまり重視されず、ブラジル全体がそんな感じなので特に問題もなさそうで時間はゆったりとうまく流れているようです。言葉が分からなかったらとりぜず笑えば笑顔で返してくれる、そんなブラジル精神が自分にマッチしてしまったせいか、もう帰るのが名残惜しくなります。
サンパウロで寄ったカフェ。古着屋っぽい感じです。
電子制御された焙煎機
つなぎ姿のスタッフがいい感じです
コーヒーはこんな感じで出されます
フードメニューは給食みたいな器!
お皿はなんと豆選別用の器具です
隠れ家的な雰囲気があります
真空パック販売もしている模様
場所を変えこちらは雑誌によく掲載されるカフェとのこと
大衆カフェといった感じで開放的で明るいです
オリジナルブレンドを自分で作って味見もできるスペースもありました
建物は至る所を楕円にしてコーヒー豆をイメージしているらしい
2Fにはコーヒー関係のミーティングや催しが行える部屋も完備
●肌で感じて理解できること
コーヒーが栽培される過程やその方法は本で習って理解できますが、今回実際に現地で滞在したことで初めて理解できたことはたくさんありました。
実際に嗅がないと感じ得ないコーヒーの良し悪しや性格の違い、国の主力産業としてのコーヒーに対する人々の向きあい方や考え方、コーヒーが出生する広大な地であるという実感、コーヒー生産農家の普段の生活やコーヒーに対するポジティブな姿勢など、言葉ではなく空気感で初めて伝わることを多々感じたツアーでした。コーヒーを販売する身として生産農家の気持ちをもお客さんに届けることも、コーヒーのおいしさと同じくらい価値をもっていると思うようになります。
★こちらは今回のツアーを実施いただいたセラード珈琲さんがツアー中に撮影した動画です。ちなみに撮影には私もスタッフとして参加してますよ!